LED信号機

LED(発光ダイオード)光源の信号機は、低コストであり、疑似発光を抑止することができるため、従来の電球式信号からの切り替えが進んでいます。
LED信号機
(管理人の自宅の近くのLED信号機の写真、2007年10月撮影)

従来から使われている「電球式」信号機

道路に設置されている信号機(交通信号機)は道路上で交通整理を行うもので、緑、黄、赤の3色でそれぞれ「注意通行」「停止」「停止保持」を意味しています。
信号機の光源は、従来は電球が使われていました(電球式信号機)。電球式のものは、電球と反射板とカラーフィルタで構成されています。電球から出た光を、反射板で前方向に反射し、カラーフィルタで緑黄赤の各色だけを外に出すようになっています。自動車のヘッドライトと同様の構造です。
この形で長い間使われてきましたが、以下のような課題がありました。

  • 疑似発光
    • 朝日や夕日が入るとそれが反射板で反射され、電球が光っていなくても光って見えてしまう現象です。これが起こると緑黄赤のすべてが光っているように見え、信号機としての役割を果たせません。非常に危険です。

  • メンテナンスコスト
    • 電球は約1年毎に交換されるため、電球交換にかかるコストが大きいです。

  • 消費電力
    • 70Wの消費電力があります。全国各地、365日24時間、常に発光するため、低消費電力化できればかなりの効果が期待できます。

このような課題を解決できるLED(発光ダイオード)光源の信号機が2002年頃から使われ始めています(LED式信号機)。

新しい「LED式」信号機

LED光源の信号機は、全体的な大きさは従来の電球式と変わりありませんが、大きな電球ではなく、小さなLEDの集まりで色を表現するようになっています。従来の信号機と比較して以下のような特徴があります。
  • 消灯時は黒に見える
    • LED式信号機には反射板とカラーフィルタがないため、外部から入った光が反射して外に出て行くことはありません。消灯時には黒に見え、安全です。

  • 低消費電力
    • 消費電力が小さい(15W)です。理由は、LEDが緑黄赤の単色を発光するため不要な色の光を出さないことと、発熱が少なくエネルギーを効率よく光に変換できることです。

  • 低メンテナンスコスト
    • LEDはその構造上、長寿命(寿命は10年程度)であるため、光源の交換に要するメンテナンスコストも低くなります。

  • 薄型化が可能
    • 電球式は電球を取り囲むような形状の反射板が必要ですが、LEDは素子自体が前方向に光を出すため、反射板が必要ありません。そのため、信号機本体の前後方向の厚さを薄くすることができます。

  • 光源の故障に強い
    • 電球式は各色は1つの電球で表示されていたため、電球が故障するとその色が表示できませんでした。LED式では、各色は多数のLEDで構成されるため、1つのLEDが故障して点灯しなくなったとしても、全体の機能への影響は小さく抑えられます。

  • 情報配信が可能(研究レベル)
    • LEDは点灯/消灯の応答速度が速いため、一部のLED素子を高速に点滅させることにより、情報配信することができます(可視光通信)。LED信号機の高速点滅を車載のイメージセンサで取得して情報を取り出す研究が始まっています。(LED信号機で通信実験[ledmania])

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LED式信号機の欠点

このように従来の課題を解決したLED式信号機には、新たな問題が発生しました。
  • ドライブレコーダへの記録
    • 最近タクシーなどに導入され始めているドライブレコーダへの記録がうまくいかない場合があります。LED式信号機は、交流100V電源(東日本では50Hz,西日本では60Hz)を全波整流してLEDに入力するため、100Hz(=50Hz×2)または120Hz(=60Hz×2)の周期で点滅します。一方、ドライブレコーダの記録は1秒間に約30回の速さで行われます。ちょうどLEDが消えているときにドライブレコーダの記録が行われるとその瞬間にはLEDが消灯しているように記録されてしまいます。そして、この「ちょうど」が連続するとドライブレコーダにも消灯として見えてしまいます。西日本では120HzでLEDが点滅しますので30Hzのドライブレコーダとの間でこの問題がおきやすいのです。
    • これと同じ原因で、LED式信号機や同じ方式で点灯するLED電光掲示板をデジカメで撮影すると全部または一部が点灯していないように見える場合があります。

  • 色合いの違い
    • 発光原理が異なるため従来の電球式信号機との色合いの違いが問題になることがあります。緑が青っぽくなっていたりします。色合いについては信号機の国際標準の範囲内になっていますが、人によって見やすさに違いが現れます。そのため、青色信号機の素子に2種類の色のLEDが使われているものもあるようです。

  • 雪が解けない
    • 電球式信号機では発熱があることが問題視され、その問題はLED式信号機で大きく改善されました。しかし、雪国では電球式信号機の発熱により信号機の上に積もる雪が解かされていました。無駄な発熱の少ないLED式信号機ではこの雪を解かす熱が発生しないため、雪が積もりやすいといわれています。

まとめ

このように多くの問題を解決したLED式信号機ですが、従来の電球式信号機を想定した装置との間で若干の問題が残されています。今後も双方で改良の努力がされると良いと思います。

LED信号機のリンク

参考にさせていただきました。ありがとうございます。

  • 最終更新:2010-01-13 01:41:52

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