LEDに関する光の話

例えば植物の葉が人間の目に緑色として見えるのはなぜでしょうか。では白色はどうでしょう。白色の光を人工的に作るにはどうしたらよいでしょう。それをLEDで実現する方法は?

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!光は波
光は何もない空間を伝わる「波」です。光と同じように空間を伝わるものとして一般に「電波」と呼ばれるものがあります。電波はテレビ、ラジオ、携帯電話、GPS、電子レンジなど様々な分野で活用されていて、現代の生活には不可欠になりました。

光と電波は、ともに、「電磁波」の一種です。逆に言うと、電磁波の中で特定の波長の範囲にあるものが光(可視光)と呼ばれます。その範囲の中で、波長が長い方から、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の色に見えます。そして、赤よりも少し波長が長いのが赤外線、紫よりも少し波長が短いのが紫外線です。赤外線はテレビのリモコンや、携帯電話の赤外線通信に使われたり、熱線として調理器具や暖房機器に使われます。紫外線は、殺菌や、蛍光灯の中で蛍光物質を光らせるのに使われます。人の肌は紫外線にあたると日焼けし、ビタミンDが作られます。

電磁波には、光や電波のほかに、レントゲンに使われるX線や、ガンマ線などが含まれます。

波長の長い方から、このようになります。波長の境界は厳密に分かれるわけではなく、1桁くらい重なります。

電波: 波長0.1mm(10^(-2)m)以上

光(赤外線、可視光線、紫外線): 波長1nm(10^(-9)m)から1mm(10^(-3)m)まで

可視光は380nm-760nm

X線:波長1pm(10^(-12)m)から10nm(10^(-8)m)まで

ガンマ線:波長10pm(10^(-11))以下


さらに詳しい情報は、[光|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89] [電波|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B3%A2] [電磁波|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E7%A3%81%E6%B3%A2] [可視光線|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AF%E8%A6%96%E5%85%89%E7%B7%9A] [赤外線|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A] [紫外線|http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%AB%E5%A4%96%E7%B7%9A][ja.wikipedia.org]


こちらも。[光と色の起源|http://sunbase.nict.go.jp/solar/sun-earth-human/colours.html][sunbase.nict.go.jp]

!「可視光」が「見える」
目に見える光が「可視光」とよばれます。波長の長い方から、だいたいの波長と見える色は以下のようになります。

650nm 赤、600nm 橙、570nm 黄、530nm 緑、460nm 青、450nm 藍、400nm 紫

周辺の明るさや、色の感じ方の個人差が影響しますので目安と考えてください。


「白」や「黒」という光はありません。人間には、可視光のすべての波長の光を感じると白、どれも感じないと黒に見えます。太陽光にはほぼすべての色(波長)の光が含まれていて、白に見えます。

例えば、葉が緑に見えるのは、太陽光のうちの緑に見える波長の光だけが、葉で反射されるためです。


さらに詳しい情報はこちら→ [光合成の森|http://sunlight.k.u-tokyo.ac.jp/index.html][sunlight.k.u-tokyo.ac.jp] [光合成FAQ|http://sunlight.k.u-tokyo.ac.jp/faq.html][sunlight.k.u-tokyo.ac.jp]

!白く見える光
人間は、赤、緑、青の光に感じる細胞を持っていて、これらの色の合成で色を識別しています。赤、緑、青を同時に感じると「白」に見え、どれも感じないと「黒」に見えます。

人間の識別できる色は必ず赤、緑、青の光の成分の合成で表現できます。このような意味で、赤、緑、青の三色は「光の三原色」といわれます。


この性質をうまく利用してさまざまな色の光を人工的に作り出すことができます。たとえば、テレビにはいろいろな色が映りますが、虫眼鏡で見ると小さな赤、緑、青の点で構成されているのがわかります。これらの光の混ざり具合をうまく調整してさまざまな色を表現しています。

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!LEDで表現する白色
LEDで白色を出すためには、赤LED、緑LED、青LEDがあればよいと考えれます。赤LEDは早くから開発され実用化されていましたが、緑LEDと青LEDの実用化はそれらより遅れ1990年代前半になりました。

光の各色(各波長)のもつエネルギーは、波長が短いほど高いです。エネルギーの高い光を蛍光体に当てることによりそれより低い光を出すことが可能です。具体的には、青色の光から緑や赤を作り出すことができますが、その逆はできません。白色LEDの実現には、青色光を出せるLEDが必須であり、盛んに研究が行われました。


青色LEDの開発により、白色LEDが実現しました。ただし、白色の出し方にはいくつか方法があります。
  1. 赤LEDと青LEDと緑LEDのタイプ(割合を変えることによりフルカラー表現可能)
  2. 青LEDと黄色蛍光体のタイプ
  3. 青LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体のタイプ
タイプ1が最も正直なやり方で、割合を変えることによりフルカラー表現可能です。しかし、素子を3つ使う必要があり、コストがかかります。低コストに抑えられ、広く使われているのがタイプ2です。青LEDの青い光の一部で黄色の蛍光体を光らせることにより、一つのLEDで青光と黄色光が出すことができ、人間には白に見えます。タイプ2の問題点は、白色ではあるものの、「自然な」白色ではないことです。それを解決するのがタイプ3です。

!「自然な」白色LED
タイプ2が自然でない白色なのは、光の色が自然ではないからです。青色LEDと黄色蛍光体で「一見」白色には見えるものの、含まれる波長が完全ではありません。このため、直接光は白色に見えますが、ものに反射して届く光が、太陽光の場合と異なってしまいます。

人間にとって最も「自然な」白色はすべての可視光の波長が含まれる太陽光の白色です。

この「自然さ」を表す指標として、「演色性」というものがあり、「演色評価数」という数値で表されます。太陽光が最大値100であり、値が小さいほど、自然でない色を表します。

演色評価数に関して詳しい情報→[Interior Zukan 基礎用語・スペクトル・色温度・分光分布|http://www.icoffice.co.jp/zukan/l_optical.htm][www.icoffice.co.jp]


タイプ3では、赤蛍光体と緑蛍光体により、タイプ2よりも広い範囲の波長をカバーすることができ、自然な白色を出すことができます。

!まとめ
光の性質、人間が「見る」しくみ、白色光の作り方について、大雑把ですが説明しました。
白色LEDの実現により、照明への利用が進みます。低消費電力、長寿命、低環境負荷といった特徴をもつLED照明の普及が期待されます。

ご意見を掲示板にお願いします。


  • 最終更新:2010-02-10 23:00:27

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